杉並区議会・全会一致で可決
杉並区の肺がん検診によるがん見落としの死亡事故について、杉並区議会は8月21・22日に臨時会を開会し、外部検証等委員会の設置条例を全会一致で可決しました。外部検証委員会は学識経験者等の4名で構成され、原因究明と再発防止について区長への答申を行ないます。
区への情報提供も不充分なまま6月1日より同医院で検診を実施
河北健診クリニックでの肺がん見落とし事故の発生は、4月18日に確認されたのにも関わらず、杉並区への情報提供や、その後の対策が実施されるまで、徒に時間が費やされました。
6月1日より今年度の区肺がん検診が実施されるため、5月29日、区は二次判定・総合判定は杉並区医師会で実施することに変更。見落とし事故の全容が把握されないまま、検診が実施されることになりました。
■事案の経過と区の対応
4月18日
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同医院で肺がんを疑う陰影の見落としを確認。
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5月1日
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河北医療財団が院内検証委員会の設置を決定。
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5月7日
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区へ口頭報告。区は委託先の医師会より報告を求める。
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5月8日
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区は報告第一報を受けるも簡略なため詳細な報告を要請。院内検証委員会終了まで対応できないと回答を受ける。
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5月29日
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区は今年度の肺がん検診について、同医院の二重読影の実施体制を一部変更。
院内検証委員会第一回実施。
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6月19日
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区に院内検証委員会報告書を提出。区は全容を把握。
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6月20日
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同医院で実施した区肺がん検診の再読影を要請。
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■要精密検査44名の内、10名にさらなる検査が必要に
河北健診クリニックでの区肺がん検診では、年間約5000人の区民が受診しており、二重読影を同医院で完結することとなった平成26年9月以降の受診者9424名について、再読影を実施した。再読影の結果、要精密検査者は44名となり、8月21日の保健福祉委員会質疑では要精密検査の結果(8月20日時点)が示された。
区肺がん検診受診者9424名の内、要精密検査が必要とされた44名の内訳
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8月20日時点で要精密検査を実施済み
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8月20日時点で要精密検査の結果が判明
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要精密検査によりさらなる検査が必要
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D判定※ 17名
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11名
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7名
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4名
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E判定※ 27名
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20名
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20名
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6名
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合計 44名
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31名
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27名
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10名
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※D判定...「異常所見を認め、肺がん以外の疾患で治療を要
する状態が考えられる」
※E判定...「肺がんの疑い」
事故の原因究明と共に検診体制のバックアップを
今回の見落とし事故は、区の健診実施マニュアルを順守せず、二重読影に専門医が関わらずに実施されていたことも明らかとなりました。
この間、区の検診自己負担金の引き下げ等により、検診受診者が増加する一方、専門医の不足等により検診体制の確保が困難になる事例も発生しています。杉並区として原因究明と共に、区民検診実施医療機関への支援体制を強化することが必要です。
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