特養不足解消への期待 一方、家族の絆の喪失も
杉並区が進める静岡県南伊豆町への特別養護老人ホーム(以下、特養ホーム)が2018年3月に開設されます。
南伊豆特養ホームは、全国初の区域外特養ホームとなり、用地確保が困難な都市部において特養不足解消への効果が期待される一方、車で片道約4時間程度もかかる遠隔地への特養ホーム整備は〝家族の絆が喪失しかねない〟等の懸念の声も寄せられています。
南伊豆特養イメージ図
「入所を希望しない」が多数 地域包括ケアの趣旨ともズレ
杉並区が実施した南伊豆町の特別養護老人ホームへの利用意向調査(詳細右下)では、「入所を希望しない」との回答が63.9%に上っています。入所を希望しない理由については、「今の住居の近くに住みたい」が66.2%。「身内や知人などと会えなくなりそうだから」が62.7%。「入所や面会のために、交通費や宿泊費がかかりそうだから」が58.1%となっています。
調査結果では、多くの特養ホーム待機者が住み慣れた地域での居住を望んでいることが端的に示されています。
要介護状態となっても住み慣れた地域での生活を保障する地域包括ケアの趣旨とも異なるものです。
保養地型特別養護老人ホーム入所希望調査アンケート(H25年実施)
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全体
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A
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B
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未回答
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すぐに入所できるのであれば入所を希望
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101
12.4%
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51
12.7%
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44
12.9%
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6
8.6%
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終身入所は希望しないが1~2年程度であれば入所を検討
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13
1.6%
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4
1.0%
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8
2.3%
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1
1.4%
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今後、本人の状態や介護者の状況などが変わった場合には入所を検討
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158
19.4%
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64
15.9%
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79
23.2%
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15
21.4%
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入所を希望しない
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520
63.9%
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276
68.5%
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202
59.2%
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42
60.0%
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未回答
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22
2.7%
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8
2.0%
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8
2.3%
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6
8.6%
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合計
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814
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403
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341
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70
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※入所申込者「優先度A・B」をもとに抽出した区民1,618人が対象
区民利用枠は約50名 7月24日より受付開始
7月24日から約50床の区民利用枠の受け付けが始まります。区域外特養ホームの入所には、利用者本人と家族の意向に沿った丁寧な対応が求められます。
用地不足の都市部においては、地域密着型特養ホーム(小規模特養)の整備を推進するなど、住み慣れた地域での暮らしを保障する介護基盤を充実させることが必要です。
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