拡幅の必要性が高いとされる路線を指定
杉並区では、災害に強いまちづくりを進めるという名目で、本年7月「杉並区狭あい道路拡幅整備条例」を「杉並区狭あい道路の拡幅に関する条例」とする条例改正が行われました。この改正により、拡幅の必要性が高いとされる路線を重点整備路線として指定し、重点的に拡幅を進めることとしています。
今回、阿佐谷南1丁目、阿佐谷北5丁目、久我山3丁目の狭あい道路が重点整備路線として指定されています(重点整備路線の選定基準は、下記)。
重点整備路線の選定基準
①東京都が策定した「防災まちづくり推進計画」による整備地域および重点整備地域(不燃化特区)内の道路
②地域のまちづくりに寄与する道路
③緊急輸送道路に接続する道路
④医療・福祉、教育等の公共施設、避難場所等が配置されている道路
⑤他の道路と適切な間隔で配置された通り抜け道路
⑥自転車や歩行者の通行量が多い道路
狭あい道路
4m未満の道で、建て替え時に道路中心から2m後退(セットバック)することにより、建築物を建築することが出来ます。
主に建築基準法第42条第2項で規定されている道路
条例改正の問題点とは
狭あい道路の拡幅は多くの区民から一定の理解を得ていますが、今回の条例改正には幾つかの問題もあります。
一番の問題点は、建物や塀などの建築物は後退しているが、後退用地に支障物件(後退用地に設置しているプランターなどの花壇、自動販売機、車両等)を設置するなどの禁止規定を行なった違反者に対し、除却の勧告・命令・事実の公表、代執行等を行う規定を設けていることです。財産権に関して道路拡幅義務を定めた法律がない中、事実の公表や代執行を振りかざした条例をつくることは、住民の理解と協力をお願いするという狭あい道路解消の理念とも相入れません。
さらに、道路拡幅に関する協議会も設置されますが、住民の意見が反映されるのか不透明であり、利害関係者の聴聞の機会が無いことも問題です。
狭あい道路の拡幅は住民合意に基づき実施することが求められます。
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