見せ掛けの帳簿操作
〝社会保障の財源のため〟と導入された消費税増税が社会保障に適切に使用されていない実態が決算委員会の質疑で明らかとなりました。
杉並区では消費税増税により、H27年度に60億円もの税収が有り、その使途を4分野25事業の財源に充当したと説明しています。
しかし、この25事業は前年(2014年)から継続した事業が大半であり、逆に25事業を合わせた区負担の経費は減少しています。
この点を指摘すると区は『60億の増収分を(25事業の)予算全体の比率で案分して計算して載せた』と答弁。財源の置き換えを帳簿上で行なっただけで、社会保障費を純粋に増加させたのではないことが明らかになりました。
消費税の増税分の税収はH27年度で約60億円。消費税が導入された前年度(H26年度)では増税分が約15億円です。他の歳入項目が平年並みならば、前年度との差引額約45億円が区の歳入として純増になる計算となります。
しかし、歳入規模が前年度とほとんど変わらないのが現状です。
社会保障には使わず 殆どが「溜め込み」へ
この点を指摘すると、区の担当課長は「地方消費税交付金の60億を一般財源部分の社会福祉関連経費にあてることが出来たので、その分特定財源の繰入金と特別区債の発行を抑えることができた」と驚きの答弁を行ないました。
繰入金とは、溜め込んだ税金を取り崩して使うことであり、当該年度、杉並区は「溜め込み」を42億7千万円も積み増しています。
結果的には消費税の増税分は社会保障に使われず、その殆んどが、溜め込みへと充てられたことになります。
消費税増税時に宣伝された「増税分は社会保障のため」という言葉は、まさに詭弁とも言えるものであり、実態は明確に異なることが地方行政の財政運営からも示されています。
日本共産党は、逆進性が強く低所得者に重くのしかかる消費税を社会保障の財源とすることに、そもそも反対の立場ですが、民意を無視して強行された増税分は、区民負担軽減など社会保障財源として活用すべきです。
コメントする