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2015年第三回杉並区議会定例会 決算特別委員会意見開陳全文
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 10月15日(木)に行なわれた杉並区議会決算特別委員会・意見開陳の全文をアップします。
 なお、2014年度・平成26年度杉並区一般会計ほか各特別会計の歳入歳出決算について、党区議団は不認定としましたが、自民・公明・未来・自無・平和等の各会派が認定し、賛成多数で認定とされました。
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党区議団を代表して意見開陳しました。

2014年度・平成26年度杉並区一般会計ほか各特別会計の歳入歳出決算に対する日本共産党杉並区議団の意見

■始めに
 日本共産党杉並区議団を代表して、2014年度、平成26年度杉並区一般会計ほか各特別会計の歳入歳出決算に対する意見を述べます。
 当該年度は安倍政権の暴走が加速し、戦後・日本の"平和の歩み"を真っ向から覆す、反動的姿勢が顕著に現れた年となりました。
戦争をする国作りに向けた策動が強まり、これまでの憲法解釈を捻じ曲げた「集団的自衛権」の行使を容認する閣議決定が行なわれるなど、立憲主義への重大な挑戦が始まった年となりました。
 当該年度は国民の暮らしには消費税8%増税という重大な負担増が押し付けられました。
 さらには、骨太の方針と新成長戦略により社会保障の大改悪が行なわれる一方、法人税減税や公的年金資金の株式市場への投入など、財界・大企業の目先の利益を優先する施策ばかりとなりました。
 社会保障改悪は着々と進められ、介護保険制度は制度開始以来最大規模の大改悪が行なわれ、公的責任を大きく後退させかねない子ども子育て支援新制度への移行等々、住民生活に深刻な負担を押し付ける施策が次々と準備されました。これらの改悪は、地方自治体の行政運営に重大な影響を与えることとなっています。
 国の悪政が進められる時、住民の暮らしと生活を守るのは地方自治体の責務です。
 今回の決算審議では、杉並区が地方自治体の責務を果たし住民生活を守る防波堤の役割を果たしてきたのか、また、住民の切実な暮らしの実態に向き合い住民福祉を向上させる各施策を展開したのか、その2点について審議をすると共に、住民サービスを大幅に後退させる区立施設再編整備計画の見直しを求める立場で審議に臨みました。

■区民生活の実態の把握しているのか?
 当該年度は消費税の8%増税と社会保障改悪に連動し、住民の負担増が激増することとなりました。消費税増税は、日本経済に大打撃を与え、アベノミクスは物価上昇の引き金を引くことになりました。増税による消費の冷え込みと経済の低迷は、住民の暮らしに大きな影を落としています。
 党区議団が実施した区民アンケートにおいて、「暮らし向きはここ数年で苦しくなった」と回答された方は2,073人のうち61%、その理由として、34%が「物価の上昇」、31%が「税金や社会保険料の負担」。ついで24%が「年金収入の減少」と回答しています。
 また、区から請求した資料によると、高齢者の負担は、75歳以上夫婦世帯、年金月額20万円の場合、介護保険、後期高齢者医療保険、住民税、所得税を合計すると、27年度分はさらに上がって、ついに30万を超えました。
 現役世代でも、毎年値上がりを続けている状況です。40歳夫婦・子ども一人、年収300万円の場合、税と保険料で77万6千円の負担です。毎年、収入の4分の1が税と保険料に消えていくことになります。ここにさらに消費税の負担がかかります。
 住民生活に重大な負担増を与えている背景に、国民健康保険料、介護保険料などの保険料負担があります。歴代自民党政権のもと、年金・医療・福祉など社会保障制度の改悪が繰り返されてきたことが要因であり、年金が削減される一方で、社会保険料の負担は年々増加しています。
 当該年度、後期高齢者医療保険料は4100円の引き上げが行われ、一人あたりの平均保険料額は9万7000円となりました。来年度は10万円を超す見込みです。さらに重大なのは、制度への批判をかわすために導入した保険料の「特例措置」を安倍政権が廃止しようとしていることです。保険料は2倍から3倍、ケースによっては5倍から10倍に跳ね上がります。
区内で特例措置を受けている高齢者は、加入者の半数近くにのぼり、極めて大きな負担増となります。
 介護保険料も3年ごとの見直しのたびに引き上げられてきました。15年前の制度発足時、基準額は月額2940円でしたが、今年度は5700円まで跳ね上がっています。
 加えて、当該年度は介護保険制度改悪が強行され、さらなる負担が高齢者世帯に襲い掛かります。
 党区議団が区長に対し「こうした法改悪をやめるよう国に意見をあげるべき」と求めても、「税と社会保障の一体改革は必要」とし、消費税増税と社会保障の改悪を容認、国の悪政に立ちはだかる姿勢がないことは問題です。
 決算審議では、年々負担が増していく保険料や税の実態が明らかとなる一方、区民の現状・暮らしの実態に、極めて鈍感な区の姿勢が浮き彫りとなりました。
 「下流老人」「老後破産」「子どもの貧困」などの言葉がメディアの話題となることにも示されるように、世代を超えて、貧困・生活破壊は社会の大問題となっています。
 区民の現状を正確に把握し、的確な対策を講じることが、杉並区行政に強く求められており、現状の区の不十分な姿勢を認めることはできません。

■極めて豊かな健全財政に相応しい施策展開は行なわれたのか?
 当該年度は、特別区財政交付金や特別区税等の歳入増により、杉並区の財政力の一層の豊かさを示す決算数値となりました。
 当該年度は経常収支比率が遂に70%台に達しました。インフラ等が整備されている都市部においては、高い数値となることが必然であるにもかかわらず、逆に、低くなり続け、70%台にまで達する状況は、この経常収支比率を財政運営の目標数値に置いてしまったためです。本来、経常的に区民福祉の向上にあてられるべき予算が、まともに使われていない状況を物語っているといえます。
 他の委員の質疑では、経常経費か、臨時的経費か、算定項目の入れ替えにより、経常収支比率がすでにあいまいになっている状況も指摘されました。
経常収支比率を、現状分析のための財政指標としてではなく、財政運営の目標にすえた弊害の一つといえます。いずれにしても、こうした一つの財政指標にこだわり続けることは異常なことであり、区民本位の財政運営を歪めていると指摘します。
 この間、実質収支額は26年度65億円、25年度74億円、24年度70億円と毎年、70億円前後の規模となっています。こうした財政力を背景に当該年度は財政調整基金に50億円が積み立てられました。着々と、550億円もの財政のダムを目指した基金積み立てが進められています。「財政のダム」構築の根拠として、これまでの「首都直下型地震への備え論」から、「景気動向の影響や将来に備える」という理由が答弁されるようになっています。しかし、東京都や杉並区は法人税の一部国税化への反論として住民福祉向上のための行政需要が膨大にあり、「東京一人勝ち」といった状況ではないと抗弁してきました。区は、自らが訴える住民の行政需要に応える財政運営を行うべきであり、あらたな将来不安論によって、財政のダムの根拠とするのは区民をあざむく行為です。
 党区議団は一定規模の基金積み立てを否定するものではありませんが、550億円もの過大な積み立ては改めるべきです。
 このように極めて豊かな財政力に応じた区民福祉向上の施策が展開されてきたでしょうか?
 この間、党区議団も指摘してきましたが、区民要求の高まりを受け、区も「保育や介護などの要望に応え、福祉目的の歳出が増えた」と答弁するように、当該年度の民生費における保育や介護への予算は増えました。しかし、党会派委員が指摘したように、まだまだ豊かな財政力に対して、住民福祉は不足しており、現状には大きな差があります。
 障害者団体や商工団体など、区政運営にも大きな役割を担っている住民団体から寄せられた住民要求についても、莫大な経費を掛けずとも実施出来る施策があるにもかかわらず、脇に置かれたままです。ましてや区立施設再編整備計画や使用料等の見直しなど、区民生活の実態と財政運営が乖離している現状を認めることはできません。改めて区民が主人公となる財政運営に切り替えることを求めます。

■民間委託
 この間、各分野での業務委託が加速しています。先行実施されている他自治体の事例を見ても、個人情報の漏えいや偽装請負問題、法令違反を回避しようとする際に起こる「二度手間行政」など、様々な問題が相次いでいます。
 国保年金課業務の外部委託では、区職員が区民に直接かかわる事になる窓口対応や電話対応などの「国保年金課の顔」となる業務の大半が委託となるため、区職員が区民の生活実態を理解しながら公務員として能力を培っていく、その機会を奪うことにもなりかねません。公権力の行使を担う地方公共団体の責任が適切に果たされないことも懸念されます。
 区は民間活力の導入により業務の効率化を図るとしていますが、業務分析で判明した非効率的な業務を、区職員の力で早急に是正すれば良いことであり、わざわざ民間委託をする必要はありません。それが民間にしかできないというのであれば、その姿勢は業務に対する怠慢です。
 今後、住民サービスの低下を招かないためにも業務委託を進めるべきではありません。

■住民合意の無い区立施設再編整備計画
 区立施設再編整備計画について、計画の進め方、住民との合意形成のあり方、再編整備の効果について、その問題点を指摘すると共に、あんさんぶる荻窪の財産交換や各地域で進められる再編計画の見直しを求める立場で、以下、意見を申し述べます。

・人口推計の使い分けの実態
 まず、再編整備計画の根拠となるデータの使い分けについて、問題を指摘します。
 杉並区は、児童館施設の廃止やゆうゆう館の削減、あんさんぶる荻窪の財産交換など、施設削減をすすめる「区立施設再編整備計画 」と使用料の大幅値上げ、そして小中学校統廃合の時だけ、急激な少子高齢化となる国立社会保障人口問題研究所の将来人口推計を区民に示し、施設削減、福祉削減の根拠としてきました。一方、杉並区のまちづくりや高齢者施策、子育て施策の基礎となる総合計画、実行計画には少子高齢化が激しくない、区独自の人口推計を使っています。
 この間、党区議団はこの将来人口推計の恣意的な使い分けについて、区民を欺く大変問題のある姿勢と指摘し、強く改善を求めてきました。しかし、区は、未だに改善する姿勢を見せていません。質疑では、施設削減の根拠としていた社人研の人口推計と、杉並区の人口推計では、高齢化の傾向が余りにも乖離していることが、改めて明らかとなっています。
 施設再編整備計画の根拠として示された人口推計などのデータを再検証し、再編整備計画や区立小中学校の統廃合計画は一旦、凍結するべきであり、このまま強行することは認められません。また、今後、高齢化率の異なる2つの人口推計データの恣意的な使い分けをやめるよう強く求めます。

・住民との共同の概念が欠如
 住民との合意形成について、この間も指摘していますが、住民の理解を得て進めるという住民自治の基本姿勢が欠如しています。また、説明会の開催や住民との意見交換を積み上げる区の姿勢が極めて弱いことを厳しく指摘します。
 この間、自治会の一部の役員などが集められて、懇談会を開いていますが、このような一部の役員の理解が、そのまま地域の理解とする区のやり方は、大変問題であると考えます。
 質疑では、我が党が取り上げた地域の意見を「一握りの意見」とし、そうした意見には耳を貸さないという姿勢を示したことは、許されない事です。
加えて、今議会においても、区長の税務署2個1発言、"区民センターは土地所有者が返せと言っている"など、この間、議会にも区民にも説明もしてこなかったことが、次々と明らかとなっています。このようなことが繰り返される度に住民の不信感は募ります。
 地方自治体の責務として住民参画と合意形成が挙げられます。一般質問でも取り上げましたが、区の基本構想においても「支えあい共につくる」と示されており、「今後ともすべての区民が、お互いを尊重しあいながら地域の一員としての意識を高めつつ、力を合わせて活動していくことが重要です。」と謳われています。また、「区は区民と共に、このような活動やそれを担う人材をはぐくみ、地域の力を高め、支え合い共につくる地域社会を築いていきます。」とされています。
 この間の区立施設再編整備計画の一連の手続きは、この立場から全く逸脱しているのではないでしょうか?計画を一旦、凍結し、住民との合意形成や共同の努力を深め、丁寧に住民との信頼関係を積み上げる姿勢が区には求められています。区の姿勢の転換を強く求めます。

・見せかけの機能継承と場当たり的な対応
 施設再編整備計画は、廃止・転用される各施設について、機能は継承されると強弁しています。例えば児童館やゆうゆう館は現在の持っている機能がそのまま残るようなことが盛んに言われています。一方、現実的に動き出した再編計画を見れば、現場で行なわれていることは施設の機能劣化に他なりません。
 質疑では、他地域に移転された「ゆうゆう阿佐ヶ谷館」のずさんな対応を取り上げました。この様なずさんな対応を進める中で、機能が継承されると強弁されても全く説得力がありません。また、和泉児童館についても、具体的な機能継承は検討中のことばかりであり、現状で和泉児童館が果たしている役割・機能が継承されるかは、全く未定です。
 再編整備計画の全体において、計画の変更や修正などが相次いでおり、場当たり的な対応と言わざるを得ない状況です。このような進め方そのものを改めることが必要です。

・阿佐谷地域の施設再編
 阿佐谷地域の施設再編について、施設の統廃合により区民サービスの後退が明らかとなりました。
 「1+1は2にならない」という答弁に象徴されるように、複合化される施設では、産業商工会館と阿佐谷地域区民センターの持っている諸室が継承されず、幅広い区民に利用されている2つの施設の機能が削減されることが明らかとなりました。加えて、平日の昼間には、杉一小学校の運営が優先され、施設の利用が制限される懸念もあります。さらには阿佐谷の南地域から集会施設を奪うと共に、公園やプールの削減なども示唆されています。これらは明確な区民サービスの後退であり、到底、認めることはできません。

・小中一貫校
 統廃合による施設一体型小中一貫校で教育環境の悪化も明らかです。小中一貫校については、もともと3つあった小中学校を一つの学校に統廃合することによる弊害が、次々と出てきています。
 高円寺中学校の限られた敷地に3つの学校を詰め込むことにより、施設の高層化、校庭の縮小、プールが一つしか置けないなど、教育環境の悪化が明らかです。このような学校統廃合による小中一貫校づくりは直ちにやめるべきです。

・天沼3丁目複合施設棟と200名規模の大規模特養ホーム整備について、地域包括ケアバックアップ機能の実態と地域包括ケアの理念からの逸脱
 区が進める地域包括ケアの構築についても、施設再編整備計画との兼ね合いで見れば、大きな疑問が残ります。ゆうゆう阿佐ヶ谷館の移転により、当該地域の高齢者の拠点が失われている状況です。この間、ゆうゆう館は、施設利用者が増え続けており、地域包括ケア実現に向けて、重要な役割を担っています。そのゆうゆう館を他施設に転用させ、「今後、公共の施設には拘らず、民間の施設を活用すればよい」とする区の姿勢は、自治体の責任放棄に他なりません。
 天沼三丁目複合施設における地域包括ケアのバックアップ機能についても、全く具体性がない現状が明らかとなりました。
質問する度に、バックアップ機能のイメージや重点内容が次々と変わるような答弁が繰り返されました。他会派委員からも「ちぐはぐな感じ」と指摘されるような状況です。
 障害者分野も含めた権利擁護機能、医療機関との連携、ケア24全体をサポートするような基幹型包括の機能等々、「縦割りでは無く」「横断的に」「広域的に」「ハイパーなサポートチーム」などなど、まるで言葉が独り歩きしているような事態です。
 既に、あんさぶる荻窪の施設内で展開された多くの機能がそのまま移転し、新たに付与される機能は極めて曖昧であり、漠然と理解できたのは相談機能を配置することと、在宅医療相談調整窓口を配置する程度のことです。その後の質疑では、虐待対応に特化するようなイメージも示されていますが、判然としません。
 地域包括ケアのバックアップ機能が謳われる一方、限られたスペースでその全ての機能を持つことが出来るのでしょうか?既に本庁舎で行なわれている地域包括支援センターのバックアップ機能が、一部分だけを複合施設棟に移転させることにより、サービス提供体制が非効率になることも懸念されます。
 財産交換の二つの柱の一つが、このように具体性も無く進められ、どれほどの効果を発揮できるのか、この段階でも見えてこないのは重大な問題であり、財産交換そのものに正当性がありません。

・典型的なハコモノ行政への移行
 天沼3丁目複合施設棟の建設コストを質問したところ、おおよそで約30億円程度ということが示されました。質疑でも明らかな通り、複合施設棟に新たに付与される機能・スペースはごく僅かであり、既に、あんさんぶる荻窪に配置されている各施設の大部分が移転されるに過ぎません。
 財産交換で失われるあんさんぶる荻窪の建設費等は、過去の資料などから、建設費だけで約28億円ということです。
 築十数年の新しい施設を手放し、30億円の莫大な税金を注ぎ込み、同じような機能を持っている庁舎を新たに建設する、これは究極の税金無駄遣いではないでしょうか。
 財産交換に固執する区の姿勢は、極めて問題であり、認められません。

・住民サービスを天秤にかける姿勢
 この間、200名規模の大規模特別養護老人ホーム整備の必要性が示され、財産交換の最大の理由とされてきました。
 党区議団は都市部においても、用地確保が可能であれば、「大規模特養ホーム」整備を否定するものではありません。ただし、地域の状況や利用者ニーズ即した形で整備が進められることが必要です。
 質疑において、地域包括ケアのモデル事例として取り上げられた各自治体の取り組みを紹介しました。今、多くの自治体は大規模集約型の施設整備ではなく、小規模で地域にくまなく点在した施設整備に移行を始めています。お隣の世田谷区の事例も取り上げましたが、各年度につき、小規模特養ホームを一カ所整備することを既に決定しています。
 例えば、杉並区が、荻窪税務署隣接の廃止決定国家公務員宿舎3300㎡程度に80名規模の特養ホームを整備し、29年度から各年度で1カ所ずつ29名規模の小規模特養ホームを整備すれば、200名程度の特養ホーム整備を実現できることになります。
 今回の財産交換は、大規模特養ホーム整備のために、あんさんぶる荻窪という地域住民から愛された施設・コミュニティの拠点を失うということです。
大規模特養ホーム整備の一方、住民サービスを大きく後退させる施設削減は、不合理極まりないと考えます。
 今回の決算審議において、あんさんぶる荻窪は既存の場所でも、さらに機能を再編し、地域包括ケアのバックアップ機能を果たすことは十分可能であり、一方、特養ホーム整備は、廃止決定宿舎部分を活用し速やかに建設する、30億円もの莫大な建設コストを払うことなく、小規模特養等を各地域に点在させることこそ、最も合理的であることが明らかです。
 改めて、この道理の無い、財産交換方針の凍結を求めておきます。

・使用料
 当該年度から施設使用料が引き上げられ、団体割引制度が廃止されました。住民の社会参加を著しく阻害する状況となっており、重大な問題です。直ちに、団体割引制度を復活させることを求めます。

■個別施策への評価
・保育
 喫緊の課題となっている保育待機児童問題について、この間、区が認可保育所整備に力を注いでいることは、党区議団として評価をします。一方、区立保育園の民営化や新設保育園で「保育の質」が低下するなど、一部には課題も見られます。保育施設整備の際には、良好な「保育の質」をしっかりと確保した上で、施設整備が行なわれるよう求めておきます。また、運営事業者は非営利の社会福祉法人などで対応することを求めておきます。

・特養ホーム
 この間、積極的な特養ホーム整備が行なわれていることは重要です。
 一方、区立施設再編整備計画で生み出された用地を検討するなど、住民サービスの削減と一体の整備方針が示されています。
 質疑でも取り上げましたが、住民サービス同士を競合させるような施設整備は重大な問題です。小規模特養ホームの積極的な活用を検討するほか、廃止決定された国家公務員宿舎を活用することも必要です。宿舎は残り僅かとなっていますが、区への活用の照会がきています。これら用地をしっかりと活用し、特養ホームを始めとする福祉施設に活用する事を改めて求めておきます。

・公営住宅
 低所得世帯、高齢世帯の住まいの確保は大きな課題です。低廉で良質な住まいを確保することで、生活保護の手前のセーフティーネットの役割が期待されます。質疑では23区の中で、公営住宅の配置割合が必ずしも多くはないことが明らかとなりました。
 公営住宅の整備と共に、老朽化施設の改築・改修、借り上げ住宅の配置、家賃助成制度の検討など、住まいの確保に向けた諸施策を検討することを求めておきます。

・広報
 広報について、住民への情報提供は区政運営の根幹を成すものです。党区議団は、繰り返し広報の全戸配布を求めてきましたが、この間、試験的に全戸配布が行なわれたことは重要です。
 配布の効果を適切に見定め、情報弱者やネットなどでの情報を得る事が困難な高齢者世帯などに向けた手厚い支援が必要です。
 今後、重要な基礎計画やパブリックコメント実施の際に全戸配布を行なうなど、有効な活用方法をさらに検討するよう求めておきます。

・公契約条例、小規模企業振興基本法
 質疑では小規模企業振興基本法を取り上げました。自治体への支援策を講じるよう義務付けている点で重要であり、自治体の責任が問われます。小規模事業者の実情をしっかりと把握し、適切な対策を求めます。
 公契約条例の制定について、条例制定は、単に現場労働者の賃金を確保するというだけにとどまりません。極度のダンピング受注による低賃金、短期雇用の広がりが、建設産業の技術や経験が継承されないという重大問題に発展しています。区は現場労働者の適正な環境を整備すると言いながら、最も重要な賃金について触れる姿勢がなく、現状打開の道を閉ざしていることは問題です。いまこそ公契約条例の制定で杉並の建設産業の未来に道を作るべきと指摘します。

・マイナンバー
 マイナンバー制度の番号通知が始まりました。国民の利便性向上ではなく、徴税強化や社会保障給付の絞り込みなどが目的で、国による国民掌握にも繋がりかねない状況です。
 重大な個人情報流出の危険性のみならず、企業や自治体の業務負担、番号の不届け、誤配対策が不十分など様々な問題があります。区として、マイナンバーの施行に対してハッキリと国に中止を求めるべきです。

・移動支援事業について
 質疑では、障害者分野の移動支援事業について取り上げました。利用者本人の意向に基づき「柔軟に」サービス利用を保障することを求めておきます。

・特別支援教室について
 東京都は、特別支援教室の設置を市区町村に進めており、杉並区も平成30年度までに区内の全小学校に配置しようと計画を進めています。平成28年度からは、区内6校で導入されます。保護者からは〝これからどうなるのか″と不安の声が出ています。
 新たに導入される特別支援教室は、今まで杉並が培ってきた優れた制度を引き継ぐものなのか?それとも、変質させてしまうものなのか?大きな問題です。今後五年間の経過措置期間の間、都にも意見を上げ、教員数を保障するなど計画の見直しを求めるべきです。そして今後、技術を継承した教員を加配し、各学校にプレールームなどの教育環境が整えられるまで、この計画は凍結すべきです。

 以上述べてきた理由から、
認定第1号 平成26年度杉並区一般会計歳入歳出決算
認定第2号 杉並区国民健康保険事業会計歳入歳出決算
認定第3号 杉並区介護保険事業会計歳入歳出決算
認定第4号 杉並区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算
の認定に、反対します。
認定第5号 杉並区中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算
については認定とします。
 最後に、多くの資料を短期間に準備していただいた職員の皆さんに厚くお礼を申し上げ、意見開陳を終わります。

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山田耕平

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