退職・育休延長などは待機児童とカウントせず...
保育待機児童が大きな社会問題となっているなか、正確な待機児童数の把握が行なわれていない実態が明らかになりました。
待機児童の数え方は、自治体毎の解釈が行なわれ、事実上、自治体に判断が委ねられている状況です。例えば、保育園に入れず、預け先が見つからない場合に「育児休暇を延長する」「仕事を辞める」「内定した仕事を辞退する」「遠方の親(祖父母)に子どもを預ける」などの事例に対し、待機児童とカウントするかどうかは、自治体毎に判断されます。
先の議会でも問題を指摘
先の第一回定例会では、党区議団は他自治体への聞き取りを元に、待機児童数の把握について、問題を指摘しました。
杉並区側は〝新基準に基づいている〟との答弁を繰り返し、正確な実態把握に消極的な姿勢でした。
しかし、待機児童数の数え方については、東京新聞朝刊(26日付)でも大きく報道され、大きな問題となっています。
さらに、他自治体と比較すると、杉並区の待機児童数の数え方は、多くの問題があることも明らかになりました。
他自治体では待機児童とカウントしている多くの事例についても、杉並区では待機児童と把握していません。現在の待機児童数は、実態を正確に反映していないことになり、問題を矮小化する可能性があります。
緊急の申し入れを実施
4月30日、保育待機児童の定義の改善、認可保育園に入所出来なかった児童の追跡調査、待機児童解消のための認可保育園の抜本的な拡充、区内公有地の活用を求めて、杉並区長・杉並区保育課に対し、申し入れを行ないました。
※保育待機児童数とは?
◆待機児童数の定義 「旧基準と新基準」
今回の待機児童数の把握が正確に行なわれない状況は、国の基準が曖昧になった(旧基準から新基準に移行した)ことに由来します。
旧基準 認可保育園に入園を申し込んでも入れない児童を待機児童と定義
新基準 2001年より、認可外保育施設に預けている児童は、場合によっては待機児童と数えないように定義
◆旧基準に戻すよう一貫して追求
新基準となり、自治体毎に待機児童数の把握がばらつき、正確な実態把握ができなくなりました。この間、日本共産党は、待機児童の基準を旧基準に戻すよう、再三求めてきました。多くの保育関係者・保護者からも同様の声が寄せられています。
杉並区における保育待機児童数の定義の改善と認可保育所増設による待機児童解消に関する申し入れ(全文)
杉並区の待機児童保護者がおこした集団異議申し立ての行動は、いま全国に広がっています。保育園にあずけられないと働けない、働かないと保育園にあずけられない。この矛盾にたいしては待機児童の親だけでなく、多くの区民が怒りの声を上げています。
党区議団は区議会において、こうした声に区が適切にこたえていくべきと指摘し、認可保育所の抜本的な増設計画を求めてきましたが、その質疑のなかでは待機児童の定義についても改善を求めてきました。党区議団は保育待機児童の定義は旧基準(認可保育所に入園できなかったすべての児童を待機児童とする)に戻すべきと主張し、新基準においても待機児童の実態を把握できるよう定義の改善を求めてきました。4/26付の東京新聞一面で待機児童の定義について23区や周辺自治体の調査結果が報道されましたが、杉並区は待機児童数の定義が他区に比べて狭く規定されており、実態を反映しにくい状態にあることが調査結果として浮き彫りになりました。
日本共産党杉並区議団は正確な待機児童の把握とそれに応じた認可保育所の増設による待機児童解消を求めて以下に要望します。
①保育待機児童数の定義について実態を把握できる内容に改善すること。
②認可保育所入園の選考にもれた児童や家庭のその後の状況を悉皆調査し、結果を公表すること。
③切迫した状況を打開するためにも直営あるいは社会福祉法人による認可保育所の増設計画を緊急に整備すること。緊急対応としての認可外保育所増設についても認可基準を維持すること。
④整備計画にあたっては「安心子ども基金」など各種補助金の活用や、区内国公有地の活用あるいは購入によって早期の待機児解消に努めること。
以上
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