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なんで、民営化が駄目なのか? 保育分野についての質問にお応えして
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 なぜ、民営化が駄目なのかという質問を頂きましたので、自分なりの見解を掲載しておきます。

私たちの立場
 民営が一概に駄目という訳ではないかと思います。
 例えば社会福祉法人が運営する私立保育園は、歴史も長く、数多くの実践と経験の積み上げから、様々な先進的な事例を築き上げてきました。それは、公立保育にも全く引けをとりません。
 さらに、それぞれの地域に根ざした法人であれば、地域特性なども把握しており、「保育の質」「保育園運営の安定性・継続性・専門性」を確保することが可能だと思います。
 党区議団は、公立保育は維持・発展することを基本とし、公立保育の民営化はストップさせるという立場をとっています。しかし、新規に設置される保育所増設については、民営であっても、社会福祉法人であれば、設置を認めてきました。 

 民営化で問題となるのが、「営利を目的とした企業経営」の保育所参入です。この場合、状況が異なります。
 そもそも、「社会福祉法人が福祉そのものを目的としている」のに対し「企業は利益を確保することを目的としている」ことに根本的な違いがあります。利益を確保するためには、保育現場にも、様々な制約が課せられます。 
 それは「①保育環境」「②職員の待遇」「③運営の安定性」などで見えてきます。 

①保育環境について
 ①は、認可基準が守られていれば、比較的、運営法人による違いは少なくなると思います(公立の条件の良さは別格です)。
 逆に言えば、どのような運営主体でも同じように課題を抱えるところであり、先進諸国の中では、極めて遅れている現状の認可基準を引き上げることが必要になっています。 また、「園庭が無い」などの新たな問題も発生している現状があります。

そのため、最大の問題となるのが②と③になるかと思います。

②職員の待遇について
 ②については、保育現場の職員には「専門性」と「継続性」が不可欠です。
 「専門性」とは、保育士資格を持ち、長く現場を経験することによる知識や技術の獲得です。これは、世代を超えた保育士集団がいて、知識の継承や集団検討などを深めることにより、獲得できるものです。
 「継続性」とは、保育士が同じ職場にしっかりと定着し、乳幼児との信頼関係を構築できていることです。乳幼児と一日の生活の多くの時間を共有する職員が「すぐに入れ替わってしまう大人」「見たこともない大人」であれば、子どもの成長にとって決して良いことではありません。また、職員にとっても、それぞれの児童の個性を把握することすら困難となります。 

 企業経営の多くは、職員が契約社員などの非正規雇用である場合が多く、企業が利益を出す上で、人件費は最大のネックとなりますので、職員の待遇は、多くの制限を受ける状況となっています。
 しかし、本来であれば保育士集団は正規職員として、しっかりと雇用され、知識・経験・技能を身に付け、それぞれの現場を支える要になっていくことが求められます。
 リスクマネジメントの観点からも、保育士同士・職員同士の連携・情報交換が極めて重要であり、その体制があることにより、保育現場で発生する事故を未然に防ぐことにもなります。 

 ある事例では(杉並区内の認可外)、施設長と現場の保育士集団が、雇用条件などを巡り対立。即日、全員解雇され、翌日からの保育は系列の別園にて行われるという異常事態が発生しているとのことです。この事例などは、上記の全ての問題が絡み合った問題ではないでしょうか。 

③運営の安定性について
 ③について、運営の安定性は、保育施設が継続して運営されるかという問題です。
 企業経営の場合、業績により、事業を継続できるかどうかが決まります。業績が悪ければ、事業からの撤退も十分にあり得ます。
 すでに過去、運営主体が企業経営の保育施設が何園も閉園しています。また、経営破たんによる閉園などの事例も多発しています。
 企業同士が保育市場を巡る競争原理に置かれるもとで、競争に負けてしまった企業は当然、潰れていきます。 
 また、それ以外の問題も発生しています。例えば、世田谷区では「認証保育所小田急ムック成城園の補助金不正受給事件」が発生し、今後の企業参入にストップをかけることに繋がりました。 
 杉並区で言えば、昨年10月に井草地域で開所を予定していた事業者は、大規模な事業拡大に伴い「土地の確保が出来ていない」にも関わらず、増設計画が先行され、計画そのものが頓挫する事態となりました。
 計画の進捗状況を掴んでこなかった区行政は、当てにしていた110名もの規模の認可定員を失うことにもなりました。 また、同会社では、事業拡大に追われた従業員の過労死事件も発生していることは、競争原理の典型と言えると思います。

保育分野に市場原理はそぐわない
 このような観点を踏まえれば、保育分野に市場原理を持ち込むことが、いかに危険なことなのか、明瞭ではないでしょうか。

 なお、企業経営の事業者であっても、採算度外視で頑張っている事業者もいます。現場に努める保育士や職員も、必死に奮闘されている方も多いでしょう。
 しかし、市場原理・競争原理が働く下で、どこまで「保育の質」の確保にこだわれるのか、現場の努力だけでは限界があります。
 さらに、そうした一部の事業者をはるかに上回る企業経営保育所で、これまでの保育分野では経験してきたことの無かったトラブルが続発していることを考えるならば、民営化を安易に進めることは大きな問題と言えるでしょう。

「保育の質」を守るためには、行政がしっかりと責任を果たす事
 以上述べてきたような状況を踏まえるならば、保育所増設は、民間丸投げではなく、しっかりと行政が関わり、設置することが必要です。
 例えば、小学校・中学校の教育分野は義務教育として、民間丸投げが行なわれていません。 保育は児童の「養護」という意味がある一方、「就学前教育」の機能もしっかりと果たしています。児童福祉法や、教育分野の観点も踏まえれば、保育分野に対する行政の責任・役割は重いものだと思います。
 だからこそ、行政が責任を果たし、認可保育所の設置や運営を行なうことが必要です。 民間だったとしても営利を目的としない法人に限り、土地の確保は行政が進めるなど、「保育の質」の確保に取り組むことが必要ではないでしょうか。

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山田耕平