3月5・6日の二日間、杉並区基本構想特別委員会が開かれ、質疑に立ちました。基本構想とは、今後十年間の杉並区の骨格となる方針を定めるものです。行政の責任や役割をしっかりと明記すると共に、住民の実態を正確に掴んだ内容にしなければなりません。
しかし、今回の構想は、行政の責務が明確に記述されていません。一方、住民同士の協働や支え合いの文言は多用されています。
住民の協働は、民主的な行政運営を進める上では、必要不可欠なことです。しかし、本来は行政の責務が果たされた上で、住民の協働があるべきです。
質疑で、行政の責任が不明確であることを指摘すると〝行政の責任は大前提である〟との答弁が行なわれました。
行政の責任を認めたことは重要な点ですが、方針となる文書に明記しないことは、説明が付きません。
・幼保一体化を明確に記述
保護者や保育・幼稚園の現場から「拙速な進め方をするべきではない」と、大きな問題になっている幼稚園・保育園の一体化を進めようとしています。
・荻窪駅周辺整備
パブリックコメントなどでも「具体的な開発案件を明記すべきではない」などの声が多数寄せられているのにも関わらず、荻窪駅周辺整備が位置付けられています。乱開発を防止していく事が必要です。
・小中一貫教育
様々な問題や批判が寄せられている小中一貫教育を無反省に進めようとしています。
・区立施設の再編整備
児童館や小中学校など、地域になくてはならない区立施設の統廃合が進められる危険があります。財政削減の名目で、区民サービスを後退させる事は許されません。
今後10年の施策後退の危険も
福祉施策は、曖昧な記述が目立ちます。基本構想が住民の切実な実態をリアルに伝えていないため、緊急に対応が必要な施策もぼやけています。「1900人を超える特養ホーム待機者」「認可保育園に入れない1500人近い児童」など、深刻な実態を抱える区民の生活を〝どのように守るか〟の記述があまりにも少な過ぎます。
緊急性の高い福祉施策については、より具体的に位置付ける必要があります。
個別の施策についても問題のある記述が多く見られます。住民合意の無い様々な施策については、十年間の方針文書に記載することは慎むべきです(詳細は右表)。
基本構想は、区民の生活実態を正確に把握し、方針の柱には、行政の責務をしっかりと位置付けることが必要です。
コメントする