都市部での用地不足の解消策 一方、「姥捨て山」との指摘も
5月1、2日、杉並区議会保健福祉委員会で南伊豆町での特別養護老人ホーム(以下、特養ホーム)整備計画に関する視察を行ないました。
同計画は、杉並区が南伊豆健康学園跡地に特養ホーム整備を検討しているもので、介護保険制度の圏域外での整備となり、様々な課題があります。
また、地方での整備は、都市部での用地不足解消策として期待される一方、高齢者が住み慣れた地域から離れることにもなり〝現代の「姥捨て山」になるのではないか?〟との指摘もされています。
特養ホーム整備用地を視察
視察では、当初から整備が検討されていた南伊豆健康学園跡地を訪問。同地は、津波想定浸水深が5m弱であり、津波被害が心配される場所でもあります。
そもそも、寝たきりの高齢者などが居住する特養ホームは安全性が最優先されるべきであり、津波被害が想定される場所での施設整備は相応しくありません。
南伊豆健康学園跡地を視察。現地マスコミも同行取材するなど、当該地でも大きな関心を集めている。
津波避難地は小高い丘の上にあり、急角度の坂道を登る必要がある。
その後、南伊豆町より提案された内陸部の町有地を視察。同地は南伊豆町が健康福祉センターの整備を検討しており、今回、杉並区の特養ホームとの共同整備を提案している用地です。
同地は、津波の被害想定地域ではなく、町の中心部に位置しており、交通の便も良い場所です。
南伊豆町より提案された町有地。
住み慣れた地域での整備が重要
南伊豆での特養ホーム整備は、子どもたちの療養に大きな役割を果たしてきた南伊豆健康学園の廃止理由の一つとして示されてきました。跡地活用に問題がありながら、健康学園が廃止されたことは大きな問題です。
また、地域包括ケアの観点からも特養ホーム整備は高齢者が住み慣れた地域で行なわれるべきです。しかし、特養ホーム利用者の意向が尊重され、自治体間交流が活発な地域に限り、地方での施設整備の可能性も否定は出来ません。利用者の意向を聞き取りつつ、今後の動向を注視します。