前代未聞の事態に...公共工事業者が住民を訴え
高円寺地域で進められる小中一貫校の巨大校舎建設計画で、工事業者が近隣住民に対し、抗議行動の中止を求める仮処分を申し立てました。巨大校舎建設計画により、住環境を脅かされる住民の抗議行動(プラカードを掲げる等)を恫喝し、委縮させることを目的とした「スラップ訴訟」です。
この間、杉並区は近隣住民の住環境への影響等を懸念する声を無視し、巨大校舎建設計画を強行。建設現場の対応は工事業者に丸投げしてきました。
区の極めて無責任な姿勢が、地方自治体の公共工事では異例の事態となる「スラップ訴訟」に繋がりました。この事態は、多くのマスコミが取り上げています。
杉並区役所前では近隣住民と住民側弁護士が区の対応の改善を求めて切実な声をあげた。
東京新聞2017年5月12日付け(上)で詳細が報道され、その後、多くのマスコミにも取り上げられる事態に。
※スラップ訴訟とは?
スラップ訴訟とは「住民の行動に対する戦略的な対抗訴訟」の英訳の頭文字をとった言葉で、通称「恫喝訴訟」とも言われています。
権力を持った企業や政府等の優越者が〝公の場での発言や政府・自治体などの対応を求めて行動を起こした〟権力を持たない弱者や個人・市民・被害者に対して、威圧的、恫喝的、報復的な「いやがらせ」を目的として起こす訴訟です。
被告となった側は法廷準備費用、時間的拘束等の負担を強いられるため、仮に原告が敗訴しても、主目的の「いやがらせ」は達成されます。
欧米では、スラップ訴訟が表現の自由を揺るがす行為として大きな問題となっており、法律で禁じている自治体もあります。
教育施設としても重大問題 住民との対話と計画見直しを
本来、学校施設とは地域コミュニティの拠点です。区の教育ビジョンでも「地域・学校が協働し、共に支える教育を進める」としています。
しかし、学校を建設する際に、地元住民がその校舎により安心して暮らせる住環境を脅かされ、行政からも対話を拒絶され、抗議をすればスラップ訴訟を起こされる...、まさに、異常極りない事態であり、区の教育方針とも矛盾するものです。
区は直ちに工事を中止し、住民との対話により問題解決に取り組むべきです。